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おれ、小虎。ねこや。お母ちゃんが泣いてるねん

おれ、小虎。ねこや。

中川家の次男や。

 

 

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お母ちゃんが泣いてる。

 

お母ちゃんいうたら

たいてい笑ってるか

ふざけてるか

歌ってるか

そのどれかやのに

 

 

 

ぼろぼろ泣いてるねん。

 

 

つらいんか?て聞いたら

「そんなんとちがう」と。

悲しいんか?て聞いたら

「胸が痛むんや」と。

 

 

昨日、夕方一通の封書受けとってからや。

それを読みながら

お母ちゃんの顔はみるみる変わっていったのや。

便箋5枚にわたる手紙。

美しいペン書きの手紙。

でもそれを持つお母ちゃんの手が震えていた。

 

 

それはお母ちゃんの大切な大切な親友の娘さんからの手紙で

そこには

「母が亡くなりました」と。

 

 

命を蝕む病気のことは同居する家族以外のだれにも知らせず

友だちにも仕事関係先にも

いっさい知らせず

 

 

「なんで知らせてくれへんかってん」

とお母ちゃんは泣いた。

というか、怒ってる?

「あんたはそれでええかもしれんけど

こんな別れかた、あんまりやろ!」

 

 

そしてお母ちゃんはおれに言った。

「思えへんか、小虎。

なんのための友だちなんや。

友だちは共におることで幸せを何倍にもふやし

そして共におることで

しんどいこともつらいことも耐え難いことを

半分にしてゆくんちがうんか。

美学かなんかしらんけど

エエカッコしてる場合ちがうやろ」

 

「死は誰にでも訪れる。

そのこと言うてるんと違う。

共に祈ることもできたのに

できなかったこと。

 

それがわたしの胸の痛みや」

 

うーーーーーーん

おれはただ、お母ちゃんの話し聴くだけ。

どないしたらええか・・・・

おれにはわからんよ。

 

神さま

今日も

無限の無限の愛を護りをありがとうございます

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