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恋する川柳 お題「失う」①

 

〈11/1~15到着分〉

「失う」

 

♪入選句♪

失った野心ばかりが宙に浮く 

(大阪市/日出夫)

かつて確かにめらめらと燃えていた野心。

がむしゃらに走っていたころには、自分が何に突き動かされていたのかさえ気づかずにいたけれど。

今、あの時代を過ぎて、空疎になった野心が浮いては消え浮いては消え。

ここにある穏やかな時間をかみしめる作者。

 

 

コスモスの中で自分を見失う

(草津市/弘子)

コスモスは秋桜とも書く、秋を代表する花のひとつ。

細い茎ながら、背丈は高く、そして群生して咲きます。

白や桃、赤紫のあの花の群れが一斉に風に揺れれば、思わず自分を見失ってしまいそうです。

コスモスの園に沈みこむ作者。

 

 

駆け回る失う怖れ知らぬ子よ

(神戸市/和子)

無邪気に駆け回る幼子たちの姿を見守る作者の眼差し。

幼子への愛おしさとともに胸にせりあがってくるのは、かつて自分もこうして駆け巡っていた幸せな日々なのかもしれません。

 

目の前のこの子らも、やがて怖れや苦悩を知る日が訪れることを静かな気持ちで抱きしめる作者。

 

特選♪

失った主探している座席 

(神戸市/ほくら)

ぽっかりと空いた席。

座るべき人のいない空虚さ、淋しさ。

その落ち着かない馴染まない空間は、まるで主を呼び続けているようです。

切ない一句。

 

ありがとうございます

 

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