おれ、ことら。「宗教」で幸せになれるんかな~
おれ、小虎。
ちょっと前のことやけど、おかあちゃんの友だちが家にきてん。
おれ、そのそばで寝ながら聞き耳たててんけどな~
お母ちゃんは話の流れのなかで、
「こんな世の中だからこそ、マイナスな気持ちにならんと、良い言葉を使うことが大事~」
みたいなことを、お菓子ぼりぼり食べながら一生懸命言うてたわ。
友だちA美さんも
「そうそうそう!そうなのよ~!」
と大賛成するもんやから
お母ちゃん、ノリにノッてしもて
「やろ~!そのためには祈ることなんよ~」
A美さんも「そう、もう祈りしかないよね~」
お母ちゃん「そやねん!!」
おれは二人の話がしっかりと合致したんやなぁ、、とまた目を閉じた。
眠たかったんやもん。
お母ちゃんがこう言った。
「祈り、って言うたら、すぐ”宗教”?って思われがちなんやけど、祈りってそんな狭い意味じゃないもんね。
みんなが責任者になって良き思い、良き言葉、良き行動、していくことやんか~?」
と、A美さん賛同するかと思いきや、いきなり表情が激変し、
「は?宗教のどこがあかんの!?」
あまりの大きい声に、おれ、バッと目ぇ覚めてしもたわ~
お母ちゃんも内心ギクッとした様子、でもフツーに
「ううん、宗教があかんわけと違うよ。誰が何を信心しようが自由やし。
みんなどの宗教も根本は人々の幸せの実現を目指してる。
でもその一方で宗教戦争も昔からあるやん。
宗教は、”教祖様”とか”教義”があるやろ、そーなると『うちの教祖はすごいけど、あっちは偽物』とか『うちの宗教を信じる者は救われるが、あっちへ行けば地獄』みたいな争い生んでしまってきたんは歴史上事実やしな~」
もう!お母ちゃんはスグそうやって、論理思考で説明してまうやろ!
あかんあかん
ほらほら、A美さん、ムッとしてきてるがな~~
さらに「私はなにか一つの宗教を信心してるわけとは違うけど、でも”神さま”は歴然とある、と感じてるよ。
けど、それはいわば”宇宙の真理””宇宙の法則”と受け止めていて、それが”誰”とかじゃないと思うねん。”天”としか言いようのないもん、というか~。」とお母ちゃん。
A美さんは、自分が辛いときに心を救ってくれた宗教があるらしい。
ひたすら、自分の所属する教団の素晴らしさを説き、「千都子さんもうちの道場に来てくれたらわかるわ!」と言い残して帰っていってしまった。
片付けもんをしながらお母ちゃんがおれに話しかけてきた。
「なぁ、ことら。宗教で人は幸せになれるんかな~
A美さんが、その宗教で楽になったんはよかったけどさ、「救ってほしい」「救ってもらえた」という時点でちょっとズレてるような~」
「人間てややこしいな~、おれそんなん考えたことないわ。
いっつも”神さまの言うとおり~♪”や
毎度毎度その場で起こるそのことを楽しんで生きてるだけや
で、お父ちゃんとかに怒られてしまうことあるけど、そのときはそのときや
ちょっとシュンとなるけど、じき忘れるねん、おれは。
結局いつもなんとかなることばっかりやで~世の中は」
「あんたは気楽でええわいな」
「ほっとってくれ!」
それから半年後のことや、A美さん「あの教団はあかん」いうてやめて、別の宗教に入りはったそうや。
ま、風のウワサやけど。
A美さんにこころの平和が訪れていますように。
笑顔でおられますように。
無限の無限ありがとうございます
2021.2.17