「だいすきな木」を守った少年の話
世間の騒動をよそに、大阪は肌寒いものの春を思わせる日差し、桜もようやく咲きはじめました。
ところが、東京の友人からは、今日は満開の桜に大雪、との報せ。
桜さんもびっくりしていることでしょう。
さて、3/28の新聞で「おっ、いいな」と思う記事がありましたのでご紹介します。
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「だいすきな木をきらないで」 小4男子と神戸市職員の「文通」で再生した桜が開花
(2020年3月28日毎日新聞)
「ぼくのだいすきな木をきらないでください」。2年半前、傷んで伐採される予定だった桜の幹にこんな手紙がくくりつけられた。差出人の「小4男子」に宛て、神戸市職員は返事を幹に結んだ。「かわりのサクラは、危なくない場所に植える予定にしているよ」。その桜が今春、神戸市灘区で初めて開花し、手紙を書いた少年(12)と当時「文通」した市職員が26日、一緒に花を見に訪れた。
手紙が初めに桜にくくりつけられたのは2017年9月。「ぼくのだいすきな木をきらないでください。なるべく、みきをたくさんのこしてください。ぎょうしゃさんへ。小4男子より」。前日に市の建設事務所が灘区の街道沿いに並んだ桜に「倒木のおそれがあるため撤去します」と書いた赤いテープを巻き付けた、そのうちの1本だった。
「きちんと説明しよう」。街路樹の管理を担当していた神戸市職員、志方功一さん(42)が文案を考え、返事を木に結んだ。「小4男子さま 街路樹を大切に思ってくれてありがとう。このサクラは、幹の半分以上が傷んでいて倒れる危険が大きいことがわかりました。木は重いので、倒れると人が大ケガをしたり、車が事故をおこしてしまう可能性があるんだ」
約2週間後、少年から新しい桜を植えてほしいという内容の手紙がくくりつけられていた。志方さんはその返事で、桜の木を植える予定を伝え、こう書き添えた。「お手紙から街路樹を大切に思ってくれている気持ちが伝わってきて、心が温まりました」
話はここで終わらない。このやりとりが報じられると、東京都立農業高校の職員が「桜の枝を接ぎ木で残しませんか?」と市に提案。市は伐採した「文通」の桜の枝を高校に送り、生徒らが接ぎ木して育てた苗木10本を送り返した。市は19年2月、地元住民を通じて連絡先が分かった少年と一緒に、このうちの5本を街道沿いに植えた。
それからおよそ1年。約2メートルだった苗木は50~60センチほど伸びた。地元住民らは乾燥や雑草が生えるのを防ぐためのタオルを根元に敷いた。農業高校からは「苗木が花をつけるには2年ほどかかる」と言われていたが、神戸市内でソメイヨシノの開花が発表された26日、苗木の1本に1輪がかれんなピンクの花を咲かせた。
「桜がまた元気に戻ってきてくれてうれしい」。少年は志方さんと一緒に花を見つめた。夏の間は雨が降った日以外、毎朝ペットボトルで水をやりに来ていたという。「いっぱい元気に咲いてほしい」と笑顔で話した。志方さんは「小さなつながりが、きれいな花を咲かせて感慨深い」と振り返り、「ストーリーを多くの人に知ってもらい、桜に愛着を持ってほしい」と語った。【反橋希美】
*******以上ここまで転載
一本の街路樹に寄せる一人の少年の思いが、やがて10本もの新たな苗木となって育っていることにじ~んとします。
小学生の訴えを行政が大切に扱ってくださったことも嬉しいな、と思いました。
一人の小さな力が大きな力に成りうることをあらためて思います。
ありがとうございます
2020.3.29