恋する川柳 お題「兄」
<10/9～22到着分>
「兄」
♪ワンポイントレッスン♪
「兄」がお題のときは「姉」に置き換えても違和感なく読めてしまう句は△です。
「兄」ならではの句を詠んでね！
ご自身に「兄」がいなくとも、想像力の翼を広げるのが川柳。
自由に楽しんでみましょう。
♪入選前の句から学びましょう♪
兄だけど名前呼び捨てされる君
（富田林市 真理子）
上5「兄だけど」は説明となります。
「～だけど」「～なのに」という語句を用いると、句が理屈っぽくなるので注意が必要です。
（使ってはいけない、ということではありません。）
♪入選句♪
兄の背が丸くなりつつ父の背に
（神戸市 和子）
お父さんの背中に似てきた兄の背。
頼もしくもあり、もはや若くはない兄へのちょっぴり淋しさも。
背中に刻まれる年月。
怒られた兄のすることマネすまい
（大阪市 真理子）
長兄の失敗に学ぶ弟か妹の立場からの句。
兄ちゃんはいつだって怒られ役。怒られてうなだれる兄と、それをみている弟（妹）の静けさがどことなく微笑ましい。
捕まえた若い蜻蛉は兄だった
（草津市 弘子）
音信不通となった兄なのか。
ま、男だからどこかで元気にやってくれてるんだろうけどとは思いつつも、目の前の蜻蛉に小さな胸騒ぎ。
そのうちに兄貴の噓も発酵す
（大阪市 日出夫）
弟の噓は発酵以前にみんな暴露されてしまって悔しくてならない。
とは言え、兄貴の噓も発酵し始めるのは時間の問題。
噓が「発酵」するという表現がよい。
背伸びしてみると近くになった兄
（大阪市 日出夫）
素直な句。
兄への憧れと自分の成長の誇らしさが「背伸び」から伝わります。
＊特選
兄という音を鳴らしている鎖
（岸和田市 準）
「兄」という責任の重さに鳴る鎖。
しっかりと繋がれていて、時に身動きできなくなるのです。秀句。
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2020.10.25
