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【ありがとうのじかん】ファンキーモンキー恋する川柳 4月「抱く」②

〈4月9日ご投句分〉 *コロナ拡大に伴うリクエスト放送のため未放送分発表

お題「抱く」

 

 

*あと少しで入選の句

 

抱きしめて産まれし我が子春うらら

(奈良市 たま)上5「抱きしめて」が「我が子」にかかるのであれば、語順を変えたほうがわかりやすいのでは?

→春うらら産まれし我が子抱きしめて しかしながら「産まれし我が子」は当たり前なので、例えば・・・

→二千グラムの我が子抱きしめ春うらら 

具体的にするとぐっと映像になって見える句になりますよ!

 

★では続いて入選句です!

 

*入選

 

さえずりに抱かれ目覚め日常へ

(神戸市 ほくら)

さえずりで目覚めるなんて、素晴らしい目覚め。贅沢な朝。こんな日は、きっと良いことが約束されているに違いない。特別な日になりそうな予感もよぎりながら、、、いつもの日常の中へ・・・。

この句の場合、中7で抱(いだ)かれ目覚め」となっていますが「抱(だ)かれ目覚めて」とする方が良いように感じます。理由は、ひとつは後者の方がよりリズムがテンポがよいこと。そして、「目覚めて」と「て」で切ったほうが、「日常」へと滑り出す区切りを感じるからです。

 

 

桜舞う花びら抱き時惜しむ

(吹田市 むーらん)

散る桜残る桜も散る桜…花の命は短いからこそ愛おしさも一層募ります。

むーらんさんが抱きしめていたのは、儚い花の命と、今ここに確かにある自分のいのち。

季節の移ろいはそんなことも私たちに教えてくれます。

 

 

仰ぎ見る富士の高嶺に夢抱く

(横浜市 則久)

関東の人は、富士山を見ることが簡単に叶って、ほんとに羨ましい!あの富士山の高嶺に抱く夢、なのですから、相当スケールのでっかい夢ですね。

そして今の時点では、まだまだ遠い道のりなのかもしれません。

でも富士を見上げるたびに、闘志が湧いてくるのでしょう。いつか、必ず・・・と。

富士山もしっかり見守ってくださっていますよ。

 

 

 

 

抱かれし観音様の耳元で

(草津市 弘子)

ほとんどの人が自分ひとりのの力で生きているように錯覚しているけれど、、、、、ほんとうは誰もが一人一人が観音様に抱かれている存在のかもしれません。気弱になってしまうときには、ついその安心の耳元で本音がこぼれてしまうかも。。。

 

 

買い占めの袋を抱いた日本人

(大阪市 日出夫)

こちらは時事吟。

フェイクニュースが流れて、ペーパーの買占めに走った人たち、空っぽになった商品棚が報道されていました。

「抱く」行為は、しばしば大切なもの、護りたいものをしっかりと両腕にすることですが、買占めの袋を「抱く」なんて。作者のシニカルな川柳の眼が光っています。

 

 

 

 

満月をそっと抱き寄せ酒交わす

(神戸市 和子)

うっとりと良いお酒。おとなのお酒の時間です。

「満月をそっと抱き寄せ」という表現が秀逸。その表現だけで、たっぷりと満ち足りた時間を過ごしている作者が浮かび上がります。と同時に「酒交わす」ですから、酒を酌み交わしているお相手との心かよう親しみの深さが月光に照らし出されるようですね。

 

山深く抱かれて咲く遅桜

(高槻市 悠)

佳句です。

なんといっても句の持つ静謐さに惹きつけられます。

そして大自然の雄大さにも打たれる句。

人の目のふれないところでもちゃんと季節は訪れ、春のよそおいになっていく・・・命の不思議をも感じさせる句。

下5「遅桜」がなんともひっそりと咲く感じがとても美しい。

 

 

満月に夢を抱いて酒しずく

(明石市 良香)

こちらも月とお酒。大きな満月に忘れていた夢のひとつふたつが思い浮かんで・・・つい弾みで口にしてしまったのかもしれませんね。

ちょっとお酒がすぎたのか、ほろ酔い気分。こんな楽しい夜はおとなの特権ですね。

 

 

 

*特選

さくら舞う生きて生きてといのち抱く

(福岡市 鈴

福岡県の森野 鈴さんから久々のご投句です。

中7下5「生きて生きてといのち抱く」で、「生きて」のリフレインも含め、「い」で韻をふんでいるのが耳に心地よく、印象的。

また目で見たときには、「さくら」とかな表記にしていることで、桜の花のたおやかさを、「いのち」のかな表記で「生命」をこえた「いのち」を表現し得ているように感じました。

美しく、広がりのある「いのち」の句です。

 

鈴さんからのお便り「福岡の桜は、今は八重桜が咲き始めました。桜は赤く染まった蕾は生命力を放ち、花開くと優しく包んでくれる。散り舞う景色は儚い美しさを見せ、散った花びらは、花筏となってなおも美しい。今朝の散歩中に、そんな人生を桜が教えてくれました。」

 

 

 

鈴さん、ありがとうございます

またご投句、お便りお待ちしています。

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