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運動会のたびに思い出す「手」の話

今日の昼間、たまたま息子が通っていた小学校のそばを通った。

校庭にはテントが出ていて、入場門などの飾りつけ。

先生が白線を引いてる・・・どうも運動会の用意のよう。

最近は5月に運動会するんやねぇ。

わたしが小学校・中学校・高校・・・の頃は、運動会といえば秋だったのだけど。

 

 

運動会=体育祭、といえば、胸がぎゅっと痛む思い出がある。

あれは中学のときのこと。

中学1年だった。

種目に、学年全体によるフォークダンスだったのかな?男女入り混じって手を取り合うような出し物があった。

中1といえば子どもから大人へ・・・

微妙な時期。

男のコと手が触れるのは嫌なような、違うような。

心の片隅にちょっと好きなコもいたりして、そのコの順番が回ってくるのは、うれしいやら恥ずかしいやら。

でも、どっちかというと、とっとと終わってほしい種目ではある。

楽しげな音楽にのって、しかたなく?フォークダンスする、わたしたち生徒たち。

ダンスしながら内側の円、外側の円はずれていくので、次々パートナーは変わってゆく。

 

 

ある男子の番がまわってきたとき、そして、その彼の手に触れたとき、わたしはハッとした。

とっさに、ちゃんと相手の手をとることができず、わたしはまるで触れてはいけないもののようにこわごわ指の先っちょで彼の手をとっていた。

彼の手は・・・義手。

肌の色はしていたけれど、冷たくつるりとしたゴムのような感触だった。

中1ながらに、「ちゃんと手をとらないと失礼だ!」と思いながら、できなかった。

彼はダンスしながらも、お世辞にも明るい、とはいえない表情を浮かべていた。

傷ついているかのように伏目がちだった。

彼は小柄で、わたしの方が背が高かったから、上から見るとそう見えただけかもしれないけど。

でもわたしの目には、彼は沈んだように映って、その様子にどきりとした。

・・・わたしのせい?

パートナーは次々変わり、彼はわたしよりずっと後方に回っていった。

音楽が続いて、また彼がパートナーになったら、そのときはちゃんと手をとろう、と密かに決意しながらダンスしていたけれど、その機会はないまま音楽は終わった。

 

 

 

彼とは中学3年間同じクラスになることもなく、卒業した。

だから・・・彼はわたしの名前すら知らないかもしれない。

でも、わたしは彼の名前を今でも覚えている。なにかしら痛みとともに。

時を経て、わたしも子どもを産み、母となってから、彼を思い出すときには、また若い頃とは違う深い思い。

彼がなぜ義手なのかは知らない、先天的なものなのか、事故があったのか・・・

いずれにせよ彼のお母さんは「できるならその運命を自分が代わってやりたい!」と何度も思ったに違いない。

、、、そんな彼のお母さんの思いと自分の思いが、いつの間にか重なって、運動会、といえば取り返しのつかない後悔とともに遠い日のことが思い出されるのです。。。

 

ありがとうございます。

 

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