ちょっとせつなくて、ちょっと幸せな今年のさくら
花に嵐のたとえじゃないが・・・
せっかくの桜。
冷たい雨にかなり散ってしまいましたね。
桜ってフシギな花。
桜の花盛りの下に立つと、あの世とこの世の狭間にいるような気になるのは・・・わたしだけ!?
ここんとこ、ずーーーーっと“盛り上がって”いて(注:世間では「忙しい」とも言う)、わたし自身はお花見はできていないのだけど、いつもいつも心の中で思っているのは、母のこと。
施設にいる母のこと。
ひとときも忘れたことがない。
お母さん、どうしてるかな。
笑ってるかな。
淋しくなってないかな。
足は痛んでないかな。
・・・・お母さんに桜見せてあげたいな。
少しでも時間があれば、施設に寄って・・・何を話しするでもないのだけど、しばらくおしゃべりして帰ります。
帰りぎわに握手をすると、むんぎゅううううう・・・・・って手を握られる。
あぁ、帰ってほしくないんやな、と、胸がキュッとします。
先週は、お母さんに桜を見せたろ!と思い、なんとか明るい時刻に施設へ。
もうすぐ夕飯だと職員さんにいわれたけど、「すぐ戻りますんで!」と強引に外へ。
だって、桜は待ってくれないもんね~!
夕飯に戻らないといけないから、とっとっと・・・・と急ぐ爆走車椅子。笑。
ようやく近くの公園にたどり着いて母を桜の下へ。
ぴんくに敷き詰められた花びら。
頭の上もぴんく。
「お母さん、きれいなぁ、今が一番きれいに咲いてるで」
わたしの言葉に、車椅子から腕を伸ばす母。
折りしも風が吹いて、花びらが母の帽子や肩にふりかかり、わたしは見とれてしまいました。
なんでもない光景だけど。
この光景を、わたしはいつかきっと、とても大切なシーンとして思い出すような予感がして。
なんだか涙がでそうで。
あと何回、こうして母と桜が見られるのかな。
ちょっと感慨にふけっていたら、母が「寒いから、もう帰る」などと情緒のないことを言う~!
「今年の桜しっかり見ときや」とわたし。
「もう見た。もうええ」だって。
まっ、いいか~
また、母の車椅子を押しながら施設への道を戻りつつ。
こうして母と春のひととき、穏やかに暮れる一日がとても愛おしいのでした。
2015.4.14