【ありがとうのじかん】ファンキーモンキー恋する川柳 1月のお題「走る」④
〈1月30日放送分〉
お題「走る」
*入選句
頬染めた乙女な時間置き忘れ
(大阪市 福山貴子)
初投句の貴子さん、ありがとうございます!
恥じらいにうつむくそんな時期を経て、走り続けた毎日・・・とのこと。「走る」のお題にはちょいと厳しいのですが、初めての作句とのことなので甘いお点に♪ (でも句としては初心者とは思えない出来です)
これからも詠み続けてくださいね。
何時の間にこんなとこまで走ってた
(富田林市 真理子)
真理子さん、いい句ですね~。
がむしゃらに走り続けて、気づけばこんなとこまで来ていた・・・真っ直ぐに生きる姿勢が見えてくるようです。
この場合、上5は「いつの間に」と「何時」をかなで表記する方がベターです。見比べたらそのほうが読みやすいでしょう?
全力で校庭走る君を追う
(神戸市 ほくら)
大好きだったサッカー部のキャプテンの練習を窓から眺めていた若き日の私自身を思い出し・・・これってきっと恋の句かな~?と思ったら、作者から「孫の走る様子を見て」とのこと。あらら笑。
いずれにしても大切な人の一生懸命な姿に胸を躍らせる句ですね!
川柳は575音しかありませんから、そもそもの作者の意図がどうあれ、読み手が勝手に句の世界を広げてOK。
それが川柳のもう一つの楽しみでもあります。
マイペースゴール間際で意地を出す
(草津市 弘子)
おもしろい句です!
わかるわぁ~~。なんたって私は筋金入りの負けず嫌い。「マイペースを大事にしてるの」なんて云ってたって、ゴール間際ではムキになりますとも。その割には、ゴール後は「うん、いつもの調子よ」なぁんて、必死のパッチだったことも悟られたくなくって。(注、これは私のことで作者のことではありません!)
雪恋し二月の時間走り出す
(横浜市 則久)
ん~~。中7「二月の時間」っていうのがなんともロマンティックではありませんか!一月の時間とも三月の時間とも違う「二月の時間」。
そうそう、2月だけは他の月にはない日数。独特の月ですね。
うかうかしてると、あっという間に過ぎってちゃう。
だから「走り出す」なんですね?のりさん。
何もかも恥の上塗り走り去る
(明石市 良香)
これまたおもしろい句です。良香さん、どんどんお上手になられていて私も嬉しいです。
「何もかも恥の上塗り」に続く下5「走り去る」だなんて、こんな人好きだなぁーーー。
あっ、まるで自分を見るからですかね?
川柳では、立派な人間を詠むより、人間臭い面を詠む方がうんとおもしろい。だれにでもあるちょっと「情けない面」が詩になるんです。だって愛おしいじゃありませんか。
初日の出君の笑顔にまっしぐら
(大阪市 エリー)
エリーちゃんも初投句かな?
ありがとうございます。初日の出ですから、元旦の思いでしょうか。今年こそは愛しの君の笑顔に向かって・・・という決意表明のようにきこえてきましたよ。昇る眩しい太陽をみながら、だんだんと君のお顔に見えてきたのかもしれませんね~。
きっとエリーちゃんに新たな力が湧いてきたことでしょう。
*特選
道迷い走った先にお母さん
(大阪市 井上貴子)
この句は・・・グッときました。
多くの方がグッとくる句では。
貴子さんも初心者でいらっしゃるのだけど、こんなふうに素直な句はキャリア云々関係なく人の胸を打ちます。
生きているとあれこれ悩み迷路に陥ることも。
そんなときに良い力をくれるのは、今も昔もお母さん。
これは古今東西老若男女この先も変わることはないでしょう。
貴子さん佳句をありがとうございます。
2020.3.16