【ありがとうのじかん】ありがとう便り「先生、明日から学校ないん?」
【ありがとう便り】4/2放送分
小学校の教諭をされている直美さんからの「ありがとう便り」をお届けします。
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2月28日の朝のこと
今回のコロナウィルス拡大に伴っての、前日の安倍総理の報道があったけれど現場や保護者は落ち着いていました。職員も管理職に詰め寄ることもなく、ただ午前中に開かれる校長会の結果を待っていました。
私が担任する2年生の子供の何人かは「先生ー、明日から学校ないん?」と不安そうに聞いてくる子もいました。
「そうやね、今は校長先生がお話しに行ってくれているから待っていようね。」としか言えませんでした。
1時間目が終わり職員室に戻った時、事務の先生が
こっそり「3月の給食切ったらしいよ」と教えてくれました。
まさか!とは思いましたが、いよいよかと思い、非常事態に備えることにしました。
まず時間割の変更を子供たちと相談しながら決めました。
次学年へ積み残しが無いよう2時間目は算数。
やり残してあった「分数」を1時間で凝縮して勉強しました。
2分の1、4分の1、8分の1を折り紙を使ってお勉強しました。
3時間目は体育。「最後にこれだけはやりたいーー!絶対無しにしないで!」と懇願されたので体育はすることに。
鬼ごっこ、ドッチビー(ドッチボールとフリスビーが合体したもの)を充分に楽しみました。
4時間は先程やった分数の算数のテスト。
テストをさせている間にこれからの先の見えない自宅学習に備えて、宿題やおたよりの準備を急ピッチで進めました。
そして給食。
机で大きな輪を作り、みんなで顔を見ながら、みんなで準備をして食べました。
6年生の卒業を控えた子供たちは、急すぎる展開で、もうこの時点で泣きながら給食を食べていたそうです。
給食が終わると緊急の職員会議。結果はやはり明日から休校。詳細は何も決まっていないとのこと。しかし、先生たちはは冷静に受け止め、文句や不安よりもまず先に、今目の前の子供達にできることをそれぞれに精一杯考えていたと思います。
5時間
体育館で全校集会。
明日から休校ということを校長から告げられた子どもたち。
一同言葉が出ない。
しかし、こんな時でも子供は待った無し。
クラスの発達障害を持った子は体育館に入ろうともせず固まり、私はその対応に追われてました。
体育館から教室へ戻る途中
「先生!ユウトが!」
先ほどの体育館へ入れなかった子を抱き抱えたまま、その声に後ろを振り向くとユウトくんが泣いていました。
また喧嘩でもしたのかな?と思ったのですが、ユウトくんの口から出た言葉は
「寂しい‥」
その言葉を聞いて
朝から蓋をしていた私の気持ちもどっと溢れてだして
涙が止まらなくなってしまったのです。
目の前のどうしようも出来ない理不尽さ、
子供たちと1年間培ってきた絆や思い出、
これからいよいよ進級や卒業を迎える子供たちへの思い。
私だけではなく
日本いや世界の教育現場で関わっておられる先生方の気持ちは同じだったと思います。
5時間目で終わる低学年の子供たちにとって
残された時間は30分。
このままお別れは本当に辛い。
最後の最後にまたみんなで輪になって、一言づつ気持ちを伝え合いました。
1人2人と涙が伝染し、しゃくり上げて泣く子もいます。
そんな中、今まで写真を撮られるのを極単に嫌がっていたアラタくんが「先生最後にやりたいことがある。みんなで写真を撮ろう。」と提案してくれたんです。
みんなびっくり。
アラタくんのおかげで、集合写真を撮ることができました。
たくさんの配付物や荷物をまとめ、さようならをしました。
クラスでも一番やんちゃだった子がドアまで行くと振り返り
「先生、1年間お世話になりました。ありがとうございました。」とお辞儀をしてくれるのです。
気づかないところで子どもたちはしっかりと育っているんだなと思いました。
帰宅後にようやく落ち着いて一人になったとたん、また号泣。
何もしてあげられなかった虚無感。
今年の卒業生は、私が初めてこの学校に赴任してきて担任した子どもたちでした。
また、自分のクラスの子への思いだけじゃなくて、去年担任した子供たちなどへの思い。
様々な気持ちが溢れました。
今はもう前向きにと考えていますが、このコロナの影響で、たくさんの多くの方々の涙が流れたことをずっと忘れないと思います。
和歌山県 直美さん より
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子どもたちに注がれる温かい気持ちに胸がいっぱいになります。
今このたいへんな時期を、子どもたちのために一生懸命尽くしてくださっている、直美先生はじめ日本中の先生に感謝します。
ありがとうございます
2020.4.7