母の相棒・白ねこ福ちゃんのこと
認知症のうえに、骨折の後遺症でいまだ一人で歩くことのできない母は、いま介護施設に入所しています。
わたしの家からは40分もあれば通えるし、その介護施設には、わたしのいとこのようちゃん(母にとっては姪)が勤務しているので、なにかと安心。
母は、家ではねこを飼っていました。
もう15歳だから、人間にするとかなりの高齢。
真っ白のきれいなねこで、福ちゃん、というのだけど、母はとってもかわいがっていました。
起きてるときはちょこんと母の横に座り、寝るときは、母と同じ布団にもぐって、人間みたいに顔を布団から出して寝るんですよ。
しかも、顔を母のほうに向けて。
母と福ちゃんの二人暮らし、お互いに深い信頼関係だな~と感じていました。
だけど、施設に入るにあたり、ねこは当然つれていけない。
ねこと離れるのはいやだ、と言う母に
「お母さん、早よ元気になって、リハビリもがんばって一人で身の回りのことできるようになろね。
そしたら家に戻れるやん。
がんばろ。福ちゃんもそれまで応援してくれるよ」
わたしはそう言って励ましました。
福ちゃんは、いとこのようちゃんが預かってくれて、面倒をみてくれることに。
ようちゃんもねこ好きなので、とても大切にお世話してくれていました。
先日、朝早い時刻に、ようちゃんから電話が。
出ると 「千都子姉ちゃん・・・」 と言ったきり、号泣。
「ようちゃん、大丈夫?どないしたん?」
嗚咽のなかから途切れ途切れに「福ちゃんが亡くなった」と・・・。
夕べまで普通にフードを食べていたのに、朝起きると亡くなっていたそうです。
「もう歳いってたから、自然死よ。
ようちゃんに悲しい思いさせてごめんやで」
お姉ちゃんごめんねごめんね、と電話口で泣きじゃくるようちゃんにそう言いました。
そして、一つお願いをしました。
「ようちゃん、福ちゃんがなくなったこと、まだお母さんに言わんといてな。
黙っといてほしい」 と。
わたし自身、このことをどう母に伝えたらいいかはわからない。
でも、今は言えない。
どんなにショックを受けるか、淋しい思い、悲しい思いをするか、ひと目会いたかったろうに、抱っこしたかったろうに・・・と母の気持ちを思うと、とてもそんな勇気は出ない。
いつか打ち明けないといけない日がくるとは思うのだけど・・・。
わたしにとっても、つらすぎて無理なのです。
だから、福ちゃんの旅立ちから一週間経ったいまも、母はまだそのことを知らないまんま。
でも、今日、母の妹であるわたしの叔母から聞いて驚いた話。
母が、部屋に来てくださった職員さんに
「窓、開けといてくれる?白猫がときどきくるから」 と言ったそうです。
お部屋は5階だから、ねこなんて来るはずないのにね?
母は病気(認知症)のせいで、おかしなことを言ったりするから、職員さんも気にしなかったそうですが。
だけど、そのこと聞いて、わたし、
あ~、よっぽどお母さん、福ちゃんに会いたいのかな~、と切なくなりました。
それとも・・・・ほんとにときどき来てるのかな、福ちゃん?!
お母さんの心がどうかずーーーっと安らかで平和でありますように。
ありがとうございます。
2014.10.2