【ありがとうのじかん】ファンキーモンキー恋する川柳 お題「道」③
〈3月19日放送分〉
お題「道」
*入選
まわり道思いがけなく君に逢う
(むーらん)
なんとな~く今日はまわり道で帰ろうかな、、、と。
そんなときありますよね。
たまたまだったのに、ドキ!君に会ってしまうとは。
もっとおしゃれしておけばよかった。。。。なんて。
日常の中のどっきり、そして喜び。
沈丁花香りの方へ道続く
(神戸市 和子)
沈丁花は近い春を告げる花。芳しい香りと真っ白な花びらにうっとり。
我知らずついつい香りにつられて歩いてしまいそう。
本来なら、道に沿って植栽があるわけですが、和子さんは「香りの方へ道続く」という表現で「香り」を主体とされ「道」を詠まれました。
いっそう花の香が濃厚に香り立つような佳句となっています。
春はそこ道ひとすじに梅香る
(明石市 良香)
こちらも花の香の句。
まだ浅い春を詠まれています。
まだまだ冷たい風にのって香ってくるのは梅の香。
梅の香はうっとり、というより、凛と背筋が伸びるような清らかな香り。
これまで歩んできた道のり同様に、作者の前にはまっすぐな道が伸びているのでしょう。
「道ひとすじ」と「梅」が相互によい効果をあげています。
脇道に外れてしまう好奇心
(大阪市 日出夫)
おもしろい。
自分を笑っている句です。
川柳は人のことをおとしめて笑う句はご法度ですが、自分のことはどんどん笑ってくださいね。
さて、日出夫さんが描かれたのは、王道をまっすぐ貫きたいにもかかわらず、ついつい脇道に外れてしまう、自分の情けなさ。
それをウェットではなく、さらりと詠んで楽しい句です。
作者の軽やかさが心地よい句。
ありがとう時空も超えて飛んでいく
(大阪市 清実)
永ちゃんファン、と書いてくださってた清実さん。
初ご投句ありがとうございます。
この句は、、、もしかしたら、面と向かって「ありがとう」がいえない人に向けて詠まれたものなのかも知れません。
ありがとうの感謝は時空を超えてつたわります。
清実さんがお伝えされたい方は、ひょっとすると、もうこの世にはおいでじゃない方なのでしょうか。
それとも、、、会えない人・・・まさか永ちゃん!?
霧晴れて登る山道春の風
(高槻市 悠)
快い句ですね。
さぁーっと霧が晴れ渡り、行くべき道が現れてきたとき、まるで寿ぐように吹いてきた柔らかな春の匂いの風。
霧がかかっていたのは山だけではなく、実は心にも。
今は晴ればれ快晴ですね。
歩いてく重ねたこころ桜舞う
(奈良市 たま)
一緒に歩いているのは生涯の伴侶なのでしょう。
重ねた年月、重ねたこころに舞い散るのは、もう何年目かの桜の花弁。
毎年こうして並んで歩けることも、当たり前のように続けてきたけれど、これもまたかけがえない幸せ。
願わくばこれからも歩き続けていきたいのです。
落胆し歩いた道も昨日まで
(京都市 里彩)
落胆に打ちひしがれたことも、そりゃありましたよ、、、、
でもね。
決めました!
今日からは新たな私で。
きりっと前を向いて堂堂と胸をはり歩き出す作者。
下5「昨日まで」の言い切りが小気味よい句。
*特選
酔っぱらい冷たい道で泣いている
(草津市 弘子)
佳句!酔っ払いを題材にしてこんなよい句とはすばらしい。
なにがあったんだか、べろんべろんになっていた酔っ払い、大声出していたかとおもったら、道に座り込んでしくしく泣き始めた。。。。
「冷たい道で」というところが。だんだん正気にもどってゆく酔っ払いを想像できるようで良いなーと思いました。
まるで人生の縮図のような酔っ払い。
2020.4.30